パッションアセットデータの限界とバイアス
実物資産のグラフが金融資産より滑らかに見えても、それだけで価格が安定しているとは言えません。取引される品、観測頻度、価格の定義そのものに偏りが入りやすいためです。
「売れたもの」だけを見る偏り
公開オークション結果には落札されたロットが中心に残ります。不落、取り下げ、非公開取引などが十分に観測できなければ、市場全体より売れやすい品がデータに多く残ります。
また、ある年に著名作家や希少車の上位品が集中して出品されれば、平均価格の上昇には市場全体の値上がりだけでなく、出品構成の変化も含まれます。数字が上がった理由を価格変化と品質構成に分けて考える必要があります。
低頻度データは値動きを滑らかに見せる
株式は日々価格が付きますが、実物資産の指数は月次、半年次、年次などさまざまです。年次データでは一年の途中で起きた上昇と下落が見えません。評価額ベースの系列では、実際の取引がなくても前回評価を基準に更新される場合があります。
したがって、グラフ上の変動が小さいことをそのまま「低リスク」と読むのは適切ではありません。当サイトでは表示頻度と原データの観測頻度を区別して考えます。
指数の対象範囲が市場全体とは限らない
指数によって対象地域、価格帯、ブランド、作家、オークション会社などが異なります。高額帯中心の指数を一般的な中古市場へそのまま当てはめることはできません。
Passion to Portfolioでは、カテゴリー名だけで同一市場とみなさず、出典と方法を確認できる系列を公開対象にしています。比較前に算出方法でデータの性質を確認できるようにしています。
為替で見える収益率が変わる
海外指数がドルやポンドで公表されている場合、日本の保有者から見た円換算価値には為替変動が加わります。現地通貨で指数が横ばいでも円安なら円換算額は上昇し、逆の場合もあります。
「資産そのものの価格変化」と「為替による変化」を混同しないことが重要です。比較時には、どの通貨の系列を見ているかを確認してください。
指数に含まれない費用がある
実物資産では、購入時手数料、売却手数料、輸送、保険、保管、鑑定、修復などが発生する場合があります。市場指数が上昇していても、これらを差し引いた所有者の実際の損益は異なります。
特に短期間の保有では取引コストの影響が相対的に大きくなります。そのためダッシュボードのリターンは「所有者の手取り利回り」ではありません。
当サイトで数字を見る順番
まず出典と観測頻度を確認し、次に指数が対象とする市場範囲を確認します。その後にリターンや相関を見て、最後に個体差、換金性、保有費用を重ねます。この順序にすると、きれいなグラフだけから結論を出すことを避けられます。